転生して捨てられたボク、最恐お義兄さまに拾われる~無能と虐げられたけど辺境で才能開花⁉~


「あぁ、すまないな」

 ストークはグラスを手渡してきながら、膝を枕にして眠るアウルを見て微笑む。
 次いで彼は隣に座ると、同じく祝宴の光景を見渡しながら続けた。

「王都へアウル様の発明を公表しにいき、帰ってきて早々に会合とは……クロウ様がお忙しい身であることは承知しておりますが、ご自愛もどうかお忘れなきよう」

「それを言うならストーク、貴様もだろう」

「えっ?」

「王都への行き来に付き添い、その間の身辺の世話に尽力し、今日まで働き詰めであっただろう。祝宴が始まってからも挨拶回りで忙しなくしていた。少しは休め、後は俺が済ませておく」

「……」

 一口サイズのフルーツケーキを摘まみながらそう告げると、ふと横から視線を感じた。
 見ると、ストークがなにやら意外そうな顔でこちらをジッと見つめている。

「……なんだ?」

「あっ、いえ、不(ぶ)躾(しつけ)に見てしまい申し訳ございません。前々から感じてはいたのですが、やはりクロウ様はお変わりになられたなと思いまして」

「変わった?」

「以前よりも、お気持ちを真っ直ぐに言葉にして伝えてくださるようになったなと」

 意図的にそうした覚えがなくクロウは眉を寄せる。
 今しがたの発言を振り返ってもみるが、別段気持ちを真っ直ぐ伝えたようには聞こえなかった。
 前からこのような話し方だったのでは、と疑問に思っていると、ストークが心なしか得意げな顔で言う。

「少し前のクロウ様でしたら、〝働きすぎだから休め〟ではなく、〝疲れた顔でみっともないから引っ込め〟と仰るかと」

「同じことではないのか?」

「いいえ、まったく違いますよ」

 どちらも意味としては同じではないかとクロウは首を傾げる。
 そんな彼は自分で気付いていない。
 無意識のうちに伝え方が変わっているということに。