それだけ告げて、本間社長はオフィスを出ていこうとする。

まだ話が終わっていなくて……まだ言いたいことも聞きたいことも沢山あって、私は本間社長を呼び止めた。





「本間社長!」





しかし、本間社長は全く振り返らない。






「社長! ちょっと待って下さい!」






どれだけ大きな声で叫んでも止まってくれない。








「ああ、もう! 『史桜先輩っ!』」







一瞬だけ社長の動きが止まった気がした。

それは気のせいではなかったようで、本間社長がこちらを振り返る。







「なんで今……呼ぶんだよ……」







泣きそうな声でそう絞り出した社長……いや、史桜先輩の顔から視線を逸らすことなんて出来なかった。