この恋を執着愛と呼んでしまえば。

彼は小さな会社を経営していて、その会社は現在経営不振に陥っていた。




「資金援助をする代わりに、永山 想代と親しい仲になってほしい」




理由は、悪人らしく最低に。

少しだけ本当のことを混ぜて、嘘だとバレないように。




「俺は想代のことが好きだけど、両親がそれを許さない。条件として、想代を子会社の社長にして欲しいと言われているんだ」

「でも、今のままでは商品開発を好んでいる想代はそれを拒むだろう。だから、一度君が想代の想い人になってくれ。想代の大切な人になった君を人質に俺は想代を脅して、手に入れる」





その時の護の顔は、恐ろしいものだった。

社員を守りたい護の心を踏みにじっているのだから当然だろう。

しかし、護の会社の経営状況からすれば断れないことも分かっていた。

話しているうちに護がずっと想代に想いを寄せたままであることも知った。