この恋を執着愛と呼んでしまえば。

どこか気まずくて、私はすぐに護くんに話題を振った。


「少しはここら辺に慣れた?……って、和菓子屋までの道は分かるの?」


一応この辺に詳しくない護くんのために着いて来たことを思い出す。

「うん、スマホで道を確認しながら進んでいるから。ただ俺、だいぶ方向音痴だから変な方向に進み出したら止めて」

護くんが少し笑いながら、軽い冗談のようにそう話す。

「そんなに方向音痴なの?」

「だいぶヤバいレベル」

「ふふっ、想像つかない」

つい笑ってしまった私が顔を上げると、護くんがこちらを見ていた。

その目はあまりに優しくて、切なくて……上手く言葉に出来ない。

「護くん?」

「あ、ごめん。久しぶりに想代が笑ったところを見たなって」

「久しぶりに会ったんだから当たり前でしょ……!」

「そうだけど……なんか、うん。嬉しかっただけ」

どこか照れくさいのを誤魔化すように話す護くんに私まで恥ずかしくなってしまう。