「亡くなったんだ…」
なんだか悲しい気持ちになりました。
「うん、それで…うわあああ!」
急に敬太さんが悲鳴を上げました。
私の後ろに何かいるようです。
私は恐る恐る振り返りました。
するとそこには"あの人"がいたんです。
そう、私が敬太さんに"あの人"話をしてしまったせいで敬太さんにも見えるようになり、私は追いかけられるようになりました。
まさか一日に二回も"あの人"を見ることになるなんて。
私は急いでリビング中を逃げ回りました。
「な、菜花ちゃん!?」
そんな敬太さんの声も、この時の私には聞こえませんでした。
とにかく今は逃げなければなりません。
"あの人"に追いつかれたらどうなるのかわからないのですから。
しばらくして後ろを振り返った時、もうそこに"あの人"の姿はありませんでした。
「菜花ちゃん、大丈夫?」
「あ、はい…」
敬太さんは不思議そうな顔をして、
「何があったの?もしかして追いかけられた?」
と言いました。
「"あの人"に追いかけられました」
私がそう言うと敬太さんは、
「もう二人に話してしまったのか!?」
と驚いた表情で言った。
そうだ、二人に話すと追いかけられるんだった。
一人目は警察、二人目は敬太さん。
私は今更ながらに後悔しました。
「お願いします。私に"あの人"の話をしないでください」
「もちろんさ。俺からは話さないよ」
「俺からは」とは一体どういうことだろうか。
「あの、それって…」
「ああ、"あの人"の話を俺から言い始めない限り大丈夫だ。つまり菜花ちゃんから始めればいいってことさ」



