王子様、私はヒロインじゃありませんよ!?

 やはり、こういう重い話には免疫が無いのだろう。


 それか、何か慰めの言葉でもくれるのだろうか。


 俺は皮肉気な笑顔を浮かべ、腹が立つほど綺麗な氷雨さんの横顔を見つめた。


 氷雨さんは、その綺麗な形の唇を開いた。



「……だから何?」



 氷雨さんが発したのは、そんな言葉だった。


 慰めでも、蔑みでもない。


 心底どうでもいいと言うような、でも冷たくない、不思議な響きだった。


 彼女は表情一つ変えず、続けた。



「私の行動は私が決めるから。 私が『離れたい』と思わない限り、私が久東君から突然距離を取ることはない。
過去を言い訳に逃げないで」



 一見、冷たく聞こえるその言葉は、俺の心に優しく染み渡っていくようだった。