王子様、私はヒロインじゃありませんよ!?

 氷雨さんは黙って、俺と同じベンチに座った。


 すぐ隣に座ったなら、追い払ってやったのに。


 そう恨みがましく氷雨さんを見ると、その瞳が真っ直ぐなことに気づいた。


 あまりに真っ直ぐで、怖くなった。


 この子の傍に、俺みたいな歪んだ奴がいたら……氷雨さんを汚してしまうんじゃないか。


 この数日で、氷雨さんが噂とは全く違う人間だということは、分かり切っていた。


 そもそも、噂通りの子だったら、俺のことを1人で追ってこないだろう。


 ……噂。


 そうだ、俺は確かめようとしていたんだ。


 この氷雨夕鈴という人間が、どういう人物なのか。


 俺と、俺の親友にどんな影響を与える人物なのか。


 すっかり警戒心が薄れてしまっていたが、彼女は『氷仮面の悪女』。