王子様、私はヒロインじゃありませんよ!?

 数年前、急に態度を変え『許して』だと泣きついてきた時は、怒りで目の前が真っ赤になったものだ。


 そんなあの女に、俺は『関わるな』と告げたものも、それ以来ずっと付き纏われている。


 本当に、都合がいい女だ。


 あの女は、いつも通り、色目を使って俺を見て来た。


 氷雨の前で、いや、何でそれが気になったのかは分からないが、氷雨に養母に言い寄られる俺の姿を見られるのが、嫌だった。


 そして、俺は逃げ出した。


 あの女と同じ空気を吸うのが嫌になった。


 誰にも、俺に関わって欲しく無かった。


 俺は1人、校舎の外れにある庭園に来ていた。


 そこにあるベンチに腰掛け、周りを見渡す。


 その庭園では銀杏が黄葉し、紅葉が散っていて、それは美しい光景が広がっていたが……その時の俺はそれで感情が鎮まることは無かった。


 気持ち悪い、気持ち悪い、吐き気がする。