王子様、私はヒロインじゃありませんよ!?

 久東君は目を数回瞬かせると、信じられないというように「……本当に?」と聞いてきた。


 私は自信満々に頷く。


 久東君はその強張っていた表情をふっととき、優しく微笑んだ。


「そっか」


 ただそれだけの短い言葉だったけれど、その姿が何だか迷子が家族を見つけた様子に重なり、私は安心感を覚えた。


 よっしゃ、何とかなったぞ!


 同時に、強い達成感を感じ、ガッツポーズをする私を久東君は不思議そうに見つめた。



「……夕鈴」



 と思ったら、突然下の名前で呼んできた。


 ……何で?


 私が首をかしげると、久東君は可笑しそうに笑って言った。



「玲音も、そう呼んでたから。 俺にもそう呼ばせて、夕鈴。 あと、俺のことも汐で」


「汐く……」


「し・お」