王子様、私はヒロインじゃありませんよ!?

「跡継ぎが欲しい~って言って、俺を引き取ったくせに。 俺を見たら何だか、実子がいない自分達が恥ずかしくなるんだって。
だから、そうやって恥を殺すように俺をゴミのように扱った。 ……あの日までは」



 聞けば聞くほど、残酷な話だ。


 どれだけ、傷付いたろう。


 そして、私はなんて言葉をかけたらよいだろう。



「とうとう俺は、養父母の前に顔を出すのも禁止されてさ。 離れで必要最低限の食事と寝床を与えられ生活してた。
そして、そんな生活をして2年くらいたったころ……養母が離れにやって来たんだ」



 私は、耳を塞ぎたかった。


 ここから繰り広げられる話から、目を逸らしたかった。


 でも、この状況から逃げずに戦ってきた久東君の前で、そんなことはできない。


 それは、それだけは、私がこの世で最も嫌うことだから。



「それでさ、あの女、俺の姿見た瞬間、目の色変えたんだ。 そして、『汐ちゃん、汐ちゃんなの……?』ってさ。
今まで、名前なんか読んだことないくせに。 そして、あろうことか……あの女は俺に泣きついてきた」



 覚えたのは、強烈は吐き気と煮えたぎるような怒り。


 気持ちが悪い。


 どうして、どうしてそんな自分勝手なことができるんだろう。