王子様、私はヒロインじゃありませんよ!?

 そこには踏み入ってはいけない❝何か❞があるような気がして、私は踏みとどまっていた。


 さっき、決めただろう。


 私にできるのは、彼の傍にいることだけだ。


 彼がそれを望んでいるかどうかは別として。


 私は久東君から少し離れてから、ベンチに座る。


 何も言わない、彼が話さない限り、何も聞かない。


 すると、久東君はしばらくしてから口を開いた。



「……俺、久東家の養子なんだ」




 突然、何の脈絡も無く告げられた言葉。


 それは震えていて、辛そうだった。


 ……正直、驚いた。


 我が家の情報網はかなりのものだ。