王子様、私はヒロインじゃありませんよ!?

 「そっか」という一言で黙り込んでしまった。


 ……こういう反応も慣れていたので、僕は「そっちか」と思ったくらいだった。


 「気まずい話を聞いてしまった」「どんな言葉をかけたらいいんだろう」そうやって悩んでいるんだろう。


 ……申し訳ないことをしたな、適当に誤魔化して、この空気を何とか……。


 そう考え、彼女の顔を見て、僕は絶句した。


 氷雨さんは……❝ 何も言えない ❞のではなくて、❝ 何も言わない ❞のだと気づいたから。


 あえて黙っている、氷雨さんの横顔はそう語っていた。


 僕は不思議に思い、氷雨さんに尋ねた。


 「どうして、何も言わないのだ」と。


 彼女は何でもないことのように答えた。


 「葉室君は、言葉を望んでいない」と。


 それは、自分のことなのに、気付けていないことだった。