王子様、私はヒロインじゃありませんよ!?

 僕が突然話しかけたからか、驚いた様子の氷雨さん。


 そこには無表情だの不愛想だのと言った感じは、一切無かった。


 何なら、ものすごく表情豊かだ。


 普段とは比べ物にならないくらい。


 そんな氷雨さんにますます興味が湧き、僕はしばらく氷雨さんと話した。


 そこで、先程氷雨さんにした「何故裏方に回ったのか」と言う質問を返された。


 ……正直、少し迷った。


 過去の話をするべきか、そうでないか。


 僕は結局、するという決断をした。


 今まで、有り触れた慰めの言葉なら聞き飽きている。


 だからこそ、彼女が僕の話に何と返すのか気になったのだ。


 けれど……彼女は何も言わなかった。