王子様、私はヒロインじゃありませんよ!?

 その日、文化祭の練習があった。


 周りにしつこいくらい薦められたが、僕は結局裏方に回った。


 演劇に興味が無い訳じゃないが、空手をやっていたころにできた怪我で、このアクロバティックな登場人物の動きをするのは難しそうだった。


 アクロバティックと言うのは、張り切って、役決めの前に、台本をもう完成させていた実行委員が考えたものだ。


『うちのクラスの男子は美形が多いから! とことん格好つけてもらわないと!』



 と目を輝かせていた実行委員の姿を思い出し、苦笑いが零れる。


 そんな時、1人で練習の様子を見ている少女を見つけた。


 氷雨夕鈴、校内では無表情で不愛想な悪女と名高いが、最近では幼馴染の澄透が気に入っている人物だ。


 まあ、悪女と言うのも実際はただの噂なので、氷雨夕鈴と言う人物が、実際はどんな人間なのか気になり、話しかけてみることにした。



「氷雨さんも劇、出れば良かったのに~」


「無理無理。絶対無理……ひっ!」