王子様、私はヒロインじゃありませんよ!?

 それより、もっと揺さぶってみよう……と思っていたのだが、氷雨の予想外の言動で阻止された。


 自分で言っては何だが、俺は、かなり顔が良い方だと自負している。


 そんなやつに迫られたら、誰だって意識するはずだが……氷雨は別の意味で意識したらしい。


 俺が警戒しているのを見抜き、その上で距離を詰めるのを拒否してきた。


 こんなことを考えるのは癪だが……正直、見惚れた。


 あの、強い意志の宿った真っ直ぐな瞳に……。


 ……意味が分からない。


 今日の間に本性を見抜いてやる予定だったのに……逆に分からなくなってしまった。


 俺は「クソッ」と拳を壁にぶつけた。


 俺が苛立っているのは、氷雨だけが原因じゃない。


 氷雨が帰った後の、澄透の言動だ。



『……言ったろ、俺の大切な人だって……。 悪意を持って氷雨に手を出すのはやめろ』



 澄透は確かに、そう言った。