王子様、私はヒロインじゃありませんよ!?

 澄透が、俺達と一緒に帰るのを断ったときから、何かおかしいと思っていた。


 さらに、俺達以外の相手を家に誘いたいというのを聞いて、その疑問はさらに深まった。


 そして、……現在、目の前にいるのが『氷仮面の悪女』こと、氷雨夕鈴という状況を、俺はうまく呑み込めずにいた。


 あの、紳士に見えて、他人とは必要最低限の関りしか持たない澄透が連れてきた女子が……この無表情女だなんて。


 俺達とは普通に仲が良いが……澄透は幼少期から周りに好かれすぎるため、他人と関わるのには疲れてしまったそうだ。


 俺は女子が寄って来れば寄って来るだけ、退屈しないので、俺には分からない悩みだと思った。


 まあ、だからこそ、今ここにいる無表情女が異質に思えて仕方がないんだが。


 氷雨夕鈴は、顔だけは異次元に良いので、それを武器に澄透に取り入ったのかもしれない。


 いや、澄透はそんなハニートラップに引っかからないはずだし……無表情女が澄透に突然近づこうとした理由も分からない。


 これはとにかく、探ってみるしかないと、俺はその日、氷雨にちょっかいをかけ続けた。


 ……すると、意外なことに、氷雨は男慣れしていないことが分かった。


 いくら無表情と言えど、俺は今まで××(ピー)人もの女を相手にしてきた、感情くらい簡単に読み取れる。


 とはいえ、あまりに表情が乏しいので、戸惑っている、と言うことしか分からなかったが。