王子様、私はヒロインじゃありませんよ!?

 彼女は驚いたような表情をして固まった。


 ……こんな表情もするのか。


 どうしてだろう、先程まであんなに警戒していた相手なのに……今は、その一挙手一投足に心を揺さぶられている。


 恋をすると人は変わると言うが、あながち間違いではないかもしれない。


 今まで出会ってきたどんな女相手でも、こんな感情になったことは無かった。


 自分がこんなに単純だったなんて、正直驚いたし、見損なったとも思う。


 でも、不思議と嫌な気持ちはしない。



「玲音も、そう呼んでたから。 俺にもそう呼ばせて、夕鈴。 あと、俺のことも汐で」


「汐く……」


「し・お」



 そう、念を押すように言うと、夕鈴はコクコクと頷いた。