「気をつけていこうお兄ちゃん。たぶんここからは、前と同様にピエロ鬼たちがはびこってる」
「ならやっぱり戻って2-5を探索しよう。これじゃ匿ってもらった意味がない」
「失せモノっていう報酬は手に入った。それだけで十分な意味になるよ。ぜんぶお兄ちゃんのおかげ。だからこそ、怪我を見過ごすわけにはいかない」
「祥……」
「お兄ちゃんの傷を癒せるなら、50%の成果を捨てたってかまわない。私はもう、見ているだけは嫌だ。痛みを無くすことも、ゲームをクリアすることも、どっちも必ず遂げてみせる」
強い瞳だった。
眩みそうになるほど、射抜いてくる。
そんなまなざしを注がれて、祥だけでできているこの体が無事でいられるわけない。
火照りきり、息苦しささえおぼえる。
我慢ができなくて、祥のくちびるを奪っていた。
「ちょっ、お兄ちゃんっ……」
目をまんまるにして驚くお姫様のくちびるをさらに追いかける。
ごめんね、止まらなくて
好き
好きだよ、祥
「ありがとう」
自分の顔がとろけている自覚しかない。
好きすぎて頭がおかしくなりそう。
ううん、もう、とっくにおかしくなってる。
狂おしいほど大切な存在に。
「さぁ、連れて行ってくれるかな、お姫様」
祥の手を取り直す。
恥ずかしそうにプイッと目を逸らしてしまった彼女は、すこし強引に俺の手を引いた。



