◇Clown Act◇⇩





『仲の良いお二人とも

失せモノは確認できたカナァ?』





黒いピエロがひらりと近づいてくる。



「は、はい。ありがとうございます……」



祥ったら、礼儀正しく感謝なんかしちゃって。


体育会系の厳しさを叩き込まれているからか、もはや反射だ。


性格が良すぎて心配になる。






『フフ、ありがとう……か

言われたことがないから

すこしキュンとしてしまったヨ』






穏やかに笑う黒ピエロ。


なにがキュンだ、冗談じゃない。


俺は祥を背中に隠した。






『ふたりはしばらくのあいだここに匿うヨ!

約束だからネ☆

ピエロ鬼たちがいなくなったタイミングで

トビラの鍵を開けてあげよう

それまで──』





また目の前になにかが出現した。





『ボクたちが紙芝居を

読んであげよう☆

作品は

"クリスマスキャロル"

ダヨ!』





そのチョイスにあきれてしまう。



「いや、どう考えてもキミたち側が教え受けるべき話だろ。なにが悲しくてピエロどもに読み聞かせられるしかないんだ」


『つれないこと言わずに!

サァサァ、座った座った〜』



黒と白のピエロたちは、おどけながら演じながらペラペラと紙をめくっていく。


祥は目をうるうるさせて見入っていた。


俺はあぐらをかきながら、退屈な気持ちで頬杖をつく。


生憎だがこういう物語は好かない。


戻れも進めもしないからこそ、今を生きるんじゃないか。


全力で、守りたいもののために。


ちらりと隣を見る。


この世でいちばん愛おしい横顔。


ピエロじゃなくて俺を見てほしいのに、視線は重ならない。


手だけを握った。


なにがあっても離さない。


ピエロが最後の1ページを読み終えたとき、扉の解錠音が響いた。