◇Crown Act◇⇩




「祥、ただいま。お兄ちゃん頑張ってきたよ」



愛おしいぬくもり、匂い。


全部足りなくて頬ずりをする。


鼻先におでこに、くまなくキスをして存在を確かめる。


汚らわしいモノの相手をしてきた後だからか、普段の何倍も祥が美しく見えた。


かわいい、かわいい

愛してる

かわいい

祥、俺の祥…



「お、お兄ちゃん、む、喋れない…」


「ああ、ごめんね。嬉しくて」



俺の胸で溺れそうになっている祥を離してあげる。


眉を下げているお顔もたまらなくかわいい。


とんがり帽子を撫でようと手を持ち上げたとき、突き抜けるような痛みが広がった。



「………」



自分のてのひらで見つめた。


ほこりをかぶった布がきつく巻き付いている。


あまりの出血に、黒い布には大きなシミができており、ずしりと重たい。


祥の姿をみた瞬間に頭から抜けてしまっていた。



「お兄ちゃん、これ…」



祥が驚いたように俺の手を撫でた。


ぽろり、その瞳から涙がこぼれる。



「なんで、怪我してるの」



声が責めるようなものへと代わった。