「祥、ただいま。お兄ちゃん頑張ってきたよ」
愛おしいぬくもり、匂い。
全部足りなくて頬ずりをする。
鼻先におでこに、くまなくキスをして存在を確かめる。
汚らわしいモノの相手をしてきた後だからか、普段の何倍も祥が美しく見えた。
かわいい、かわいい
愛してる
かわいい
祥、俺の祥…
「お、お兄ちゃん、む、喋れない…」
「ああ、ごめんね。嬉しくて」
俺の胸で溺れそうになっている祥を離してあげる。
眉を下げているお顔もたまらなくかわいい。
とんがり帽子を撫でようと手を持ち上げたとき、突き抜けるような痛みが広がった。
「………」
自分のてのひらで見つめた。
ほこりをかぶった布がきつく巻き付いている。
あまりの出血に、黒い布には大きなシミができており、ずしりと重たい。
祥の姿をみた瞬間に頭から抜けてしまっていた。
「お兄ちゃん、これ…」
祥が驚いたように俺の手を撫でた。
ぽろり、その瞳から涙がこぼれる。
「なんで、怪我してるの」
声が責めるようなものへと代わった。



