「………」
俺は地面に顔を伏せた。
頭上から降り注ぐ笑い声をひたすら浴びる。
「ないで るの?
ヒ ㇶ だぃ、じょうぶ
あな だ、の手 ぎれい」
ふたたび指を撫でられる。
この仕草は次への合図だ。
標的は、中指。
口を結んで衝撃を待った、そのとき
「ヒイィィィい゙──??!!!!」
喉が潰れたような引き攣り声が落ちてきた。
俺は顔を上げる。
そこにはガクガクと顎を震わせた女の姿があった。
「ドォじで どぉジデ!!」
白装束を引きずりながら後ずさろうとする女。
あまりの恐怖にうまく体が動かせないのか、虫のように蠢いている。
俺は女をじっと見つめると
自由になった包丁を手から引き抜いた。
ダムが決壊したみたいに血が流れていく。
大量の失血を抑えるため、近くにあった舞台用の布を拝借し、傷口に巻き付ける。
ゆっくりと立ち上がった。
ひたり
ひたり
まるで俺が幽霊になったみたいに、ゆったりと女に近づいていく。
手中で包丁の柄をまわして遊ぶ。
泣き叫び、助けを乞う醜態を見下ろしながら、壁に追い詰めた。
「ぐるな! ぐるな!
おまえは ぐるっでる!狂ってる!
やめ」
大きく開かれた口に、刃を滑り込ませた。
───バリィ!!
腐った頚椎を突き破り
壁に貫通させてやる。
女は動かなくなった。



