「………」
黙々と進んでいく。
…おかしい
足を止めてあたりを見回した。
前方に続くのは変わらぬ墓地の道。
どうしてだ。
なぜ脅かし役が一人も出てこない?
それどころか、突然の音やアイテムなどといった、俺を驚かせるためのアクションがいっさい起こらない。
ひとつ、息をつく。
なにを考えているか知らないが、そっちがその気なら先手を打たせてもらう。
イカサマではない、しかし確率の高い細工を素早く施し終え、俺は歩みを再開した。
そのときだった。
「…ぅ、う」
背後から、かすかな呻き声が聞こえた。
はじめての変化ではあったが、反応してやるのも面倒でそのまま歩き続ける。
「う、う!」
声が、うなじへと移動した。
一瞬で距離を詰めてきたナニカ
ズシン!
そんな音がするほどの重さが背中にのしかかってくる。
乗られた
脳がすぐに認知して、ナニカの存在を剥がそうと腕をまわす。
「ア゛!ァア゛ ア」
男のような女のような、ひどく気持ちの悪い叫び声をあげて抵抗するナニカ。
顔に当たったのは黒い髪だった。
生きているように絡みつかれ、足を取られる。
冷たい床に倒された。
そして、体にのしかかってきたナニカの全貌を薄い灯籠の下で知ることになる。



