数日後。真帆がランチに誘ってくれた。
「彩葉、最近元気ないね。あの人とはどうなの?」
「作品が完成して、会議の結果待ち」
「それはいいことじゃん。なのに、なんで元気ないの?」
私は正直に話した。
「1ヶ月、会えてないの」
「ああ、それで寂しいんだ」
真帆が納得したように、うんうんと頷く。
「告白は、まだしてないの?」
「……できなかった」
「えっ、なんで?」
「振られると思うと、怖くて」
真帆が私の手を握った。その温かさが、私を強くする。
「彩葉。もう一度チャンスが来たら、絶対に言いなよ。でないと、後悔するよ?」
「……うん」
「それに、彼も絶対あなたのことが好きだって」
「え?」
「だって、あんなに一生懸命、作品作りに付き合ってくれたんでしょ? 仕事だけの関係なら、そこまでしないよ」
真帆の言葉に、私の胸が温かくなった。そうかもしれない。葛城さんも、もしかしたら──。
「会議が終わったら、絶対に気持ち伝えなよ」
私は決意した。会議の結果が出たら、葛城さんに気持ちを伝えよう。
出版が決まっても、決まらなくても。「好き」って、ちゃんと言おう。



