「庭の千草」狂詩曲

水を得た魚とでも云うのか。

俺が聞き惚れるほど、劇的に変わった。

「クレアに何があったんだ」

ダフィット教授が俺を問いただし詰め寄り、何度も聞き返した。

「クレアにどんな魔法をかけたんだ」

ユリウスとエィリッヒも驚いていた。

しんと静まった会場にクレアと俺のピアノ伴奏が響き渡った。

息つくのも忘れたような会場の静寂に、気が引き締まった。

この演奏で低評価なら、審査員の耳は節穴だと思った。

演奏が終わると間髪入れずに、割れるような拍手と歓声が鳴り響いた。

歓声は、なかなか収まらなかった。

運営スタッフが舞台に上がった。

「次の奏者の演奏がありますので、着席して私語はお慎みください」

マイクでアナウンスを3回も繰り返した。

俺とクレアが舞台裏に引いた時。

午後、最後のコンテスタントが舞台裏で出番を待ちながら、じっと観客席を見つめていた。