「庭の千草」狂詩曲

元気な時の教授ならば、決して言わない言葉だと思った。

「お前の援護など微々たるものだ」とか、「クレアの演奏を舐めているのか」とか、そんな憎たらしい言葉が返ってくると覚悟していた。

もう、そんな元気もないんだなと思うと虚しくなった。

俺がしっかりしないとと、気合いを入れた。

1次結果の後。

ユリウスとエィリッヒが、クレアの演奏中の教授の様子をこっそり伝えた。

終始、満足そうに聴いていたそうだ。

頷きながら、拳を握りしめ、身を乗り出し聴いていたと。

「教授はクレアを大事に思っているんだな」

ユリウスが染々と言った。

「クレアがヴァイオリニストとして活躍するのを楽しみにしているんだよな」

「間に合うといいがな」

エィリッヒが現実に引き戻す。

時間がないーー不安が焦りを煽る。

あとどれくらい?

あと何ヵ月?

俺たちはBALで酒を酌み交わしながら、祈るような気持ちだった。