「庭の千草」狂詩曲

そんなことを今まで言われたこともなかったし、考えたこともなかった。

ミスなく、完璧に演奏することが最善だと思ってきた。

「君の演奏を君が1番に聴かせたいのはダフィット教授だろ。音楽は心だ、心をこめて演奏するんだ」

宗月のピアノ演奏が求められ、演奏家として活躍している理由は、演奏に心があるからだと気づいた。

宗月のコンサートは毎回、満席でどんな難曲を演奏しても会場に割れるような歓声が上がると聞いた。

「音楽は心ーー」

どれほど弾いても色を成さなかった演奏に、初めて色が指す様子を思い浮かべた。

白黒の音符の羅列だった楽譜に初めて色を感じた。

「宗月ーー何か解った気がするわ。わたしに足らない何か」

わたしはヴァイオリンを構え直し、演奏を始めた。

早く演奏しないと浮かんだ色が消えてしまわないかと不安だった。

「クレア、音楽は逃げない」

「でも……」