「庭の千草」狂詩曲

「詩月ーー!!」

エィリッヒは、床に倒れグッタリした詩月を抱き起こしながら叫んだ。

「詩月、おい」

詩月の顔色は真っ青だった。

額には汗が滲んでいた。

頬にはうっすらと涙の跡がある。

「ユリウス!!」

詩月のパンツのベルトを緩め、シャツのボタンを開けながら、エィリッヒは声を張上げた。

「薬は上着の右、内ポケットだ」

「俺が医師を呼んでくる。ユリウス、お前が」

ユリウスとエィリッヒが入れ替わり、エィリッヒは扉を思い切り跳ね開けた。

ーー何と言う秘密を隠していたんだ

エィリッヒは走りながら、怒りがこみ上げてきた。

ーーいったい、どう云うことだ

考えが追いつかない。

ユリウスも同じだった。

学生時代、宗月とクレアは仲睦まじかった。

先輩と後輩だったが、彼らの間に入りこむ隙などなかった。

詩月はユリウスが何度呼びかけても目を覚まさない。