「庭の千草」狂詩曲

宗月に言えないでいる。

宗月の優しさに甘えている、それはじゅうぶん解っている。

自分はずるい人間だと思う。

指の痛みより、胸が痛い。

でも、宗月以外のピアノ伴奏は考えられない。

宗月以外のパートナーはいない。

宗月はわたしを責めないし、先生のことも責めない。

胸を開いて全身全霊で、わたしと先生を受け止めてくれているように思う。

懐の広い人だ。

つい自分のずるさを忘れて頼りたくなる。

こうしたい、ああしたいと願いを言葉にしてしまう。

宗月と一緒に居ると気負わずに自然体で居られる。

宗月の側は心地好い。

コンクールが終わった後のことを考えられない。

「クレア。何か気になることでも? 心、ここに在らずだな」

「ごめんなさい」

宗月はよく観ている。

「ダフィット教授の容態が良くないのか」

「少し……おとといから嘔吐が」