「庭の千草」狂詩曲

クレアはダフィット教授の体調が悪い日は、教授の家に泊まり、身の回りの世話もしているとのことだった。

練習と看病と学業。

クレアは過酷な日々にも関わらず、生き生きして見えた。

人は叶えたい目標を前にして、これほどまで頑張りぬけるのかと思うほど、颯爽としていた。

ーークレアはダフィット教授のために、演奏家生命を懸けている

俺はダフィット教授に敵わないと思うと、悔しくて堪らなかった。

コンクールが近づくにつれ、ダフィット教授はやつれていった。

「治療に専念なさっては」

ダフィット教授にもクレアにも話してみた。

だが、教授は「治療のすべはもうない。何をしても気休めだ」と言った。

数日、入院しては退院し、自宅療養する。

倦怠感や発熱、嘔吐などで体を起こしているのがやっとの日もあるに違いなかった。

クレアにレッスンをつける体力があるのが不思議だった。