「庭の千草」狂詩曲

「ダフィット教授は知っているのか」

「医者を紹介してくださったのは先生よ」

「だったら何故、こんな状態なんだ?」

納得がいかない。

「もっと上手くなりたいの。1日でも早く認められる演奏家になりたいの。先生の希望に答えたいの」

「君は教授のことばかりだな。教授のことより、自分の指の心配をしたらどうだ」

「先生には時間がないの、時間が……」

クレアはしおらしく言うと、泣き出してしまった。

俺はクレアが泣き止み、落ち着くのを待った。

温かいココアを注文し、ひたすら2時間。

クレアが話し始めるのを待った。

「先生は肺がんの治療をしているの」

ポツリポツリと、クレアは話し出した。

「詳しくは話してくださらないけれど……もう、そう長くはないわ」

ダフィット教授がヘビースモーカーなのは知っている。

1日に2箱、60本以上吸っていると聞いていた。