「庭の千草」狂詩曲

勘ぐるのは本位てはないので、思い切ってクレアに聞いてみた。

「先生は……私のあしながおじさん」

クレアは数秒考えて言った。

「先生が弾いていたヴァイオリンを譲っていただいたし、先生が大学の学費を出してくれているの。それに祖母の施設費も出してくれているの」

「つまり、ダフィット教授は君の援助をしていると」

「そう。援助するから、ガダニーニをものにできるヴァイオリニストになれと言われたの」

「君は本当にガタニーニの、教授から譲られたヴァイオリンがどんな楽器か知っているのか」

「『シレーナ』と呼ばれている楽器ね。でも噂だわ。半人半鳥の獣神の名前だから演奏者を呪うだなんて」

クレアは「バカバカしい」と付け加えた。

「確かに噂の範疇(はんちゅう)を越えない話だ。でも歴代のガダニーニの『シレーナ』演奏者が(ことごと)く不可解な引退をしているのは事実だ」