「庭の千草」狂詩曲

BALのピアノは、製造から150年くらい経つ古いピアノだ。

半月に1度は調律しないと、音が狂う。

狂った音を修正しながら、半音上げたり下げたりして演奏するのは、けっこう神経を使う。

クレアはそれを観ながら、毎回あんぐりと口を開けて驚いていた。

学内コンサートには結局、「マスネのタイスの瞑想曲」「モンティのチャールダーシュ」「エルンストの夏の終わりの薔薇(庭の千草)」を演奏した。

先の2曲は超絶技巧曲ではないが、それでも中級から上級クラスの曲だ。

学内コンサートの演奏後、クレアは学内で誰もが注目する存在になった。

ダフィット教授はクレアを満足気に見守るかと思ったが、彼女への指導は厳しさを増した。

ダフィット教授のクレアへの執着は、何をそんなに躍起になっているのかと思うほど粘着質に感じた。

「クレア。君とダフィット教授の間柄はどういう?」