「庭の千草」狂詩曲

手術着を着た看護師が手術室から、慌ただしく出てくるなり、早口で訊ねた。

「あの、息子さんはどちらに?」

「あっ、直ぐに戻ってくると」

「血液が……患者さんはRh-A型なんですが、息子さんの血液型は?」

「マルグリット、詩月の血液型を知っているか?」

「聞いていないわ」

「探してくる」

エィリッヒが廊下を駆け出した。

看護師は時間を惜しむように、手際よく手術室と医療センターへ連絡を取った。

数分後。

エィリッヒが詩月の手を引き、手術室前に戻ってきたが、表情が強張っていた。

「あなたの血液型は?」

「手術歴があるけれど……」

「一応聞いておきます」

「Rh-AB 型です」

「えっ、確かですか?」

辺りに緊張が走った。

「間違いないと」

「念のため、検査します。こちらへ」

看護師が詩月の手を引き、足早に処置室へ向かった。