「庭の千草」狂詩曲

それが心情だ。

今までずっと、そうして来た。

「肝を冷やすなよ」

「ああ」

数日後、クレアの演奏を耳にした。

ピアノ科のミラン教授のレッスン後、屋上に上がる階段の途中だった。

一息つこうと上ってきた階段で、不意に流れてきた音色に、耳を奪われた。

学生の演奏ではないと思った。

今まで聴いたことがないレベルの演奏だと感じるほどに、凄まじい音色だった。

ーー誰だ、こんな演奏をするのは

階段を駆け上がり、屋上の扉を勢いよく開けた。

振り返った演奏者の顔は、西陽でよく見えなかった。

「すみません。演奏を中断させてしまって」

演奏者の姿を確めようと、目を眇めて数歩近づく。

「女? 学生か!?」

「ずいぶん失礼な人ね。ピアノの演奏とは大違い」

「ん? 俺を知っているのか」

「貴方を知らない人は、うちの大学には居ないわ。周桜宗月さん」

生意気な女だなと思った。