「庭の千草」狂詩曲

マスターからユリウスの携帯電話に電話がかかってきたのは、翌日の早朝だった。

ユリウスは早朝、ランニングを日課にしている。

家から20分ほど離れた湖畔岸を走る。

1時間走って10分、切り株で作ったベンチに腰掛け休憩した後、30分走る。

マスターからの電話は休憩中にかかってきた。

「昨日。詩月が宗月の具合を知らせに来たんだが、様子がどうも気になった。詩月に何かあったのか?」

マスターの声は酷く動揺していた。

「話してくれないか。もしかして詩月は宗月の血液型を知ってしまったのか」

「!? マスター、何か知っているのか。秘密を……」

ユリウスはスクッと立ち上がり、携帯電話を握りしめ叫んでいた。

「そうか、知ってしまったのか。宗月の血液型を……詩月が宗月の息子ではないと」

ユリウスの携帯電話がマスターの落胆し沈んだ声の調子に、ユリウスの手から滑り落ちた。