「庭の千草」狂詩曲

「簡単に合わせられる曲じゃねえよ。詩月、あのヴァイオリン演奏を聴いて、お前がピアニストだとは誰も思わないぜ」

「それならそれでいい。ヴァイオリンもピアノもどちらも大事なんだ」

「お前の十八番、何?」

「んーー何だろう。『懐かしい土地の思い出』はよく演奏するけれど、十八番かと言われると違うかも。納得できる演奏ができたことがない。未だ未だだと思うよ」

誰と比べて未だ未だだと言うのか、ミヒャエルには解らない。

「帰ってこないかもしれないと心配したんだぞ」

「それ、ビアンカにも言われた」

「履修届けは出したのか?」

「未だ期限があるだろ。ユリウスやエィリッヒそれに教授とも相談して決めたい。調律もちゃんとモノになるようにしたいし」

「ったく、お前は欲張りなんだよ」

「学ぶ権利があるんだ。しっかりたくさん学ばなきゃ損だろ」