「庭の千草」狂詩曲

「敏いな、君は。油断ならない」

小百合は詩月のいつになく険しい表情に、数歩後ずさった。

「父の血液型は今回、父の怪我で初めて知った……ショックだったよ。それ以上に20年も騙されていたことがショックだった」

「騙されていたーー」

「戸籍上、周桜宗月は僕の父だ。留学手続きをした時、謄本を取った。なのに、父の血液型を知って……父と母の血液型ではAB型は産まれない」

小百合は「あっ」と声を漏らし、口許を押さえた。

「帰国した日、母の教室で母と男の写真を観た時、妙にストンと納得した」

「どうしてーーわたしに?」

小百合が詩月に、真っ赤な目をして訊ねた。

「何か他にもを知りたかったんだろ。もしかしたらと思っていたんだろ」

詩月は小百合の瞳から目を逸らさず、じっと見据えた。

「もしかしたら……そう思ったけれど、本当になんて思わなかった」