「庭の千草」狂詩曲

「でしょうね。この国は現役世代はいつも後回しだわ。それに薬品会社に開発能力はあるのに、開発費の支援をしないから技術の持ち腐れ」

「詩月さん。桃香さんは時々、毒を吐くから聞き流して」

詩月が舞園を呆れ顔で観ていると、遥が立ち上がり詩月の耳元で囁いた。

「まさか遥が音大生になるとは思わなかったわ。あなたが留学した後、楽屋に教科書や参考書を持ちこんで、仕事の合間に豆単めくっていたり、レッスン教室にまで通って」

「あーー詩月さんからもらったノートは参考書よりも解りやすくて、楽しくなったんだよ」

「あっ……アハハハハッ」

詩月は笑いをこらえていたが、こらえきれなくなり声を出して笑い出した。

「失礼。あんなノートで、やる気スイッチが入ってしまうなんて。単純というか、純粋というか」

「詩月さん、酷いよ。そんなに笑うなんて」

「すまない……」