「庭の千草」狂詩曲

ーー宗月の腕と手と指に、神経にまで影響するような傷はなかったと聞いた

詩月は車がどうぶつかってきたのかは聞いていない。

だが、咄嗟に指は守ったんだろうと思った。

肩から頭部にかけての傷、頭に巻いた包帯と肩を固めた石膏、足の石膏が痛々しかったのを思い出す。

詩月は指がちゃんと動くかを確かめてくればよかったと思った。

ーー言いたいことも言えず、確かめなくてはならないこともできず、憎まれ口を叩いてきただけだ

詩月は布団を頭から被り、体を丸めた。

自分はイヤなヤツだと思った。

強気で突っ張っていなければ、平然としていられなかった。

宗月に落ちこんでいるのを見透かされないか、不安で仕方なかった。

詩月は正気でいることが、これほど難しいと思ったことはなかった。

事故の知らせを聞き、病院に駆けつけた時、スマホの着信音が鳴らないようにした。