「庭の千草」狂詩曲

学生たちは口々に、声を上げた。

詩月の演奏は検査入院で約1ヶ月、まともに練習できていないとは思えなかった。

詩月は演奏を終えると、僅かにバランスを崩し、カウンターに凭れかかった。

「周桜くん!?」

マスターが声を上げ、理久が咄嗟に立ち上がった。

「大丈夫……検査で1ヶ月入院していて、少し足腰の筋力が落ちていて、毎日リハビリしているんだ」

「どこも打ったりぶつけたりしていないかい? ヴァイオリンは傷ついていないかい?」

「大丈夫」

詩月は体勢を整え、カウンター席に座った。

「良かった。こちらにはいつまで?」

「月末までは居ようと思う。帰りのチケットもまだ用意していないし」

「そうか」

マスターはよく観ると、詩月がウィーンに留学する前よりも、少し痩せたなと感じた。

「お父さんは大変だったね。お母さんが側に着いているのかい?」