「庭の千草」狂詩曲

詩月が生まれてまもなくから、詩子は子育て未経験のクレアの手助けをしてきた。

ーー詩月の体の状態も詳しく知っている、彩月よりも

詩子は詩月が幼い頃からを振り返ったが、詩月が詩子に左足のことを愚痴ったことはなかった。

詩月なりに不自由さを感じていたのを心配させまいと、黙っていたのだろうと思う。

「詩月、湿布薬を貼ってあげるわ。足をお出しなさい」

詩月は詩子の顔を観て、素直に左足を出した。

パッと見たかぎりでも左足は右足よりも、一回り細い。

薬箱を取り出してくると、詩月の左足ふくらはぎと脛に貼った。

「ん……そうね~」

詩子は暫し考え、薬箱から包帯を取り出した。

「足首、テーピングしておきましょうか。安定するわ」

「お願い」

詩子は詩月の左足を、丁寧にテーピングしながら、自分も理仁と詩月のリハビリについて話さなければと思った。