「庭の千草」狂詩曲

「そうなの。今まではピアノ演奏に差し障りはなかったようだけど、心配だわ」

「詩月は今までもきっと色々な不自由を工夫して、どうにかしてきているはずよ」

「でも、お母さん」

「困っている、できないと決めて手助けするのは違うと思うの。彩月、信じて見守りましょう。どうしてもと云う時まで」

「お母さん……」

「それに、まだ日本に居る間はリハビリをするんでしょ。日にちはあるわ」

保育士をしていた母ならではの考え方だーー困っている、できないを簡単に受け入れない。

彩月も詩子に信じて見守りながら育てられた。

できないから、苦手だからと諦めることは許されなかった。

ーーでも、お母さん。詩月は違うわ

彩月は声に出して言いたかった。

「納得しないという顔ね。でも、詩月はあなたが思うほど弱くはない。ずっと強い子だわ。簡単に諦めないわ」