「庭の千草」狂詩曲

よし! と、顔を上げると、本棚の引き出しから便箋と万年筆を取り出した。

ーーお疲れさまです。皆さまの1ショットにかける執念、猛暑の中で連日、如何にたいへんかと心中お察しいたします。

しかしながら、このままでは私自身の休養にも差し支えます。また病院にも岩舘家、さらには近隣にお住まいの方々にも、ご迷惑をおかけすることになります。

そこで、私「周桜詩月」と取引をしませんか。周桜家2階バルコニーにて、ヴァイオリン演奏を1曲披露させていただきます。

演奏終了後は関係各所への張り込み、取材などの一切を停止していただきたく思いますが、如何でしょうかーー

詩月は便箋に、一気に書き上げた。

さらに、その便箋で飛行機を折った。

練習室のカーテンと二重窓を開け、バルコニーへ出た。

「窓が開いたぞ」

「誰か出てくるぞ」

「詩月だ、詩月が出てきた」