「いや、リリィはいつも優しかったよ。叱られたことは1度もなかった。慰めて諭されて励まされたことは数えきれなかったけれど」
「叱られたことがない、1度も?」
「そう、叱らなかったのではなく叱ることができなかったんだと思っている」
「体が弱い理由を知っていたのか?」
「僕が心臓病だと知っている人は限られている。師匠はヴァイオリンを習い始める時。当時、僕の内科主治医をしていたお祖父さんに詳しく病状を訊ねにいらしたと聞いている。どこまで話したのかは知らないけれど。それに僕はひどい泣き虫だったから」
「泣き虫……想像できない」
「想像しなくていい……黒歴史だ」
「そう、聞かなかったことにしよう」
詩月は微かに笑いながら、頷いた。
「叱られたことがない、1度も?」
「そう、叱らなかったのではなく叱ることができなかったんだと思っている」
「体が弱い理由を知っていたのか?」
「僕が心臓病だと知っている人は限られている。師匠はヴァイオリンを習い始める時。当時、僕の内科主治医をしていたお祖父さんに詳しく病状を訊ねにいらしたと聞いている。どこまで話したのかは知らないけれど。それに僕はひどい泣き虫だったから」
「泣き虫……想像できない」
「想像しなくていい……黒歴史だ」
「そう、聞かなかったことにしよう」
詩月は微かに笑いながら、頷いた。



