「庭の千草」狂詩曲

「君は治療とリハビリに専念することだ。杖をついて退院したくないだろう」

詩月の脚腰の筋肉は検査入院から2週間余りの車椅子使用で、手すりを伝って歩くほど落ちていた。

ピアノもイベントホールで数曲演奏する以外は、イメージトレーニングやエア演奏、楽譜読み、指、腕、手首のストレッチなど……。

ヴァイオリンは入院以来、運弓(ボーイング)練習やエア演奏、腕や指のストレッチの他、愛用のヴァイオリンではなく、ヘッドフォンを着けてサイレントヴァイオリンで練習するなど……。

詩月は入院するたび、練習に苦労する。

特に指のケアは念入りにおこなう。

心臓病の影響もあり、低酸素状態で血流が良くないため、指のマッサージは欠かせない。

時任は病室を訪れるたび、不思議でならない。

詩月の演奏からは、華奢で細く長い指は想像できない。