「庭の千草」狂詩曲

「ピアニストではない周桜宗月、僕は観ていたくないから」

「ご挨拶だな。転んだままではいないつもりだ」

「復帰したら、聞きたいこともある」

「わかった。エリザベートの演奏を録画映像で聴いたが悪くなかった。君らしい演奏だった。会場で生演奏を聴きたかった」

「ーーぶつけてきた運転手は絶対に許さない」

詩月はガタリと立ち上がった。

本当に言いたいことは、もっと優しい言葉のはずなのに、口から出たのは、何故ギスギスした言葉なのだろう。

病室を出て、拳で壁をドンと鳴らした。

ユリウスと宗月が病室で話している声は、病室を出た詩月には聞こえていない。

「ピアニストではない周桜宗月は観ていたくないか。なかなか手厳しい」

「リハビリ頑張らなきゃな」

「そうだな。必ず復帰しなければ」

「その意気だ。また来る」

病室を出てきたユリウスは、待合室に項垂れて座る詩月を見つけた。