「庭の千草」狂詩曲

「婆ちゃん、出かけていて」

有り合わせだけど……と、テーブルに置いた。

「婆ちゃんから聞いた話だけど、周桜の家は名前に『月』を着けるんだと。婆ちゃんの『詩子』から『詩』をもらって、『詩月』と名付けたそうだ」

「『月』は納得だけど、何故『詩』お婆さんの名前からなんだ? 普通、母親『クレア』から採るんじゃないのか?」

理久は貢に言われて「そうか」と問い返した。

「『クレア』はClarus、 Clara clāra 、ドイツ語ならKlara(クララ)。ラテン語で『明るい』『澄んだ』『聡明な』と云う意味が。明月、澄月、聡月」

「それだと爺ちゃんの名前『亮月』と意味が被るんだ。『亮月』は『明るい月』と云う意味でね」

「なるほど」

「郁子はどうしている?」

「エントランスホールの動画を観て、帰ってきているのかと聞かれたよ。嬉しそうだった。でも、何かあったのかと気にしていた」