「庭の千草」狂詩曲(ラプソディー)

坂道を横道に入り上ったり下ったりしながら、岩舘病院の裏手に着いた。

理久の家の裏口に繋がっている。

「貢、上がって涼んでいかないか」

貢は裏口から入るのは初めてだ。

「家族がみんな医者、すごいよな」

「婆ちゃんは違うけどな。貢、そっち左側の扉開けて好きな所に掛けて」

貢は理久に言われるまま、左側扉をあけた。

ソファーセットとテーブル、暖炉風の空調は日本製ではない。

壁に掛かった絵画は、名のある画家の作品だ。

貢は所在なく、ソファーに座った。

理久が数分して、トレーにアイス珈琲とケーキを乗せて入ってきた。

「婆ちゃん、出かけていて」

有り合わせだけど……と、テーブルに置いた。

「婆ちゃんから聞いた話だけど、周桜の家は名前に『月』を着けるんだと。婆ちゃんの『詩子』から『詩』をもらって、『詩月』と名付けたそうだ」