「庭の千草」狂詩曲(ラプソディー)

「少しな。幾つか数値が気になるらしい。完全に治ることはないからな」

「だからか。留学前、かなり悩んでいた」

「機内では驚いただろ」

「まあ……ずっと酸素吸入していたし、CAが定期的に様子見に来ていた」

「向こうではどうだったんだ? 演奏合わせの時とか、演奏の後とか」

「随分、用心していたようだ。周桜はミヒャエルの伴奏もしていたからな」

「……あのバカ」

「周桜は2人分で、セミファイルの後はフラフラだったよ。周桜のピアノの師匠に応援を頼んでいたけれど結局、最後まで周桜が演奏の練習も本番の伴奏も演奏したんだ」

「そういう無茶を詩月は躊躇なくするんだ」

「ミヒャエルがコンクールの後『俺の伴奏は詩月からやると言った手前、お前の伴奏はお前が自分を頼ってくれたから、途中で交代して人任せにできなかったんだ』と言っていたよ」

「わかっているじゃないか、ミヒャエル。詩月はそういう所、頑固なんだ」