「庭の千草」狂詩曲(ラプソディー)

ーー詩月はうちに検査入院している

「そう。そこのピアノは詩月くんを待っているんだけどね」

カウンター内に戻り、鼻歌混じりに豆を挽く。

「周桜は何かあったのか? 様子が少し変だった」

「そうか? 親父さんの怪我が心配なんだろう。復帰するには、けっこうかかるようだし」

「ん……何かひどく沈んでいるように見えたんだが」

「詩月はあれで、かなりのファザコンだからな。貢、詩月の家の前も病院も、張りついているんだ。XCEON の3人も、いつ詩月に接触するか見張られているらしい」

「周桜もXCEON も大変だな。周桜は曲のアレンジ、まだしているんだっけ?」

理久は店内の雰囲気がいつもと違うのを感じて、珈琲を一気に飲み干した。

「貢、落ち着かないな。知らないヤツらが多いと」

スッっ立ち上がり会計を済ませて、カフェを出た。