「庭の千草」狂詩曲

パワハラやカスハラ、さまざまなハラスメントが取り沙汰されている。

若い看護師がぼやいていた。

患者の医療従事者へのハラスメントは、ペイシェントハラスメント、略して「ペイハラ」だと。

看護師側が患者へのハラスメントではなくて良かったと、毎回思う。

時任は詩月の息抜きになればと、特に深く考えず中庭に連れ出した。

連れ出す前に、主治医の理仁にお伺いを立てれば、詩月は熱中症を起こさなかった。

理仁にも、当の詩月にも「すまない」「心配をかけた」と言わせた。

そう思うと悔やまれてならなかった。

翌日、10時過ぎ。

イベントホールが自棄に賑わっていた。

詩月がピアノを弾いていた。

最前列には、詩月がふらついた時に居合わせた患者たちが居た。

詩月は大学のエントランスホールで弾いた曲を演奏していた。

患者の誰かにリクエストされたのかもしれない。